照楠会 将棋入門「将棋のルールを覚えよう」

2013.05.09

3回に渡って駒の動かし方を覚えていきました。もうバッチリですか?駒の動かし方さえ覚えることができれば、あとはルールを覚えるだけです。今回は将棋を指す上で最低限覚えておかなければならないルールを実戦例も交えながら解説していきます。

 

「どうなれば勝ちなのか」

前回の記事の最後に王様が逃げられなくなったら負けだと書きました。もう一度詳しく説明したいと思います。よく「王手」という言葉を聞きますよね。それは「次にあなたが何も手を打たなければ王様を取りますよ」という状態のことです。下の図を見てください。

王手2

左上の図を見てください。次に後手が何をしても玉が捕まってしまいますね。これが「詰み」の状態です。左下の図はどうでしょうか。龍を玉に寄せて玉が1筋一段目(△1一玉)に下がりました。先手はこれでどうだと▲2二銀です。これは詰みではありません。思い出してください。銀の弱点は脇腹。1二の地点に玉が逃げれば捕まえられませんね。

 

右上の図を見てみましょう。詰んでいそうですが、これもまだ詰んでいません。たとえば後手の持ち駒に金があったとして、黄色の地点2一に金を打ったとすればまだ飛車に捕まりませんね。先手の金が上がってもそれを同玉と取ることができます。右下も詰んでいません。黄色の地点に先手が▲1二金打とした場面です。これには4筋二段目の飛車が効いています。同飛と取れば詰みません。では実際の盤面で考えてみましょう。

 

実戦詰み3

この盤面ですが筆者が携帯のアプリ内でコンピューター初級レベルと対局してアプリが投了した図です。先手筆者は龍と馬を作られてピンチ。▲4三歩成と筆者が指すと、後手のアプリは△4二歩打と歩を打ってきました。この時点で後手玉は3二・5二に「と金」が効いているので動けません。そしてこの局面の直前、4五の地点に先手の桂馬が控えていたのです。△4二歩打を見て、先手が▲5三桂成不(桂成らず)、桂馬が成らないことで詰みとなったのが図の局面です。成らないほうがいいこともあるという例です。

 

余談ですが、この盤面の詰め上がり方、どこかで見たことがありませんか?お気づきの方がいらっしゃればとても嬉しいです。先日の久保九段インタビュー第3部の桂馬の使い方で出てきた局面とほぼ同じなのです。偶然盤面を写真で残していたので掲載しました。

 

「将棋の反則」

将棋には5つ反則があると覚えてください。

反則2

①二歩(同じ筋に二枚以上の歩が並ぶこと:図黄色1筋)

※「と金」は歩として扱わないので同じ筋に歩を並べてもかまいません。(図黄色2筋)

 

②2手指し(同じ人が2手連続して指すこと)

 

③行き場所のない地点に駒を打つこと(図青)

 

④連続王手の千日手

※千日手とは同一局面が4回出現する事。千日手が成立すると先後入れ替えて指しなおします。王手をかけるときは手を変えなければならないので、千日手の状態になると反則となります。千日手のルールは難しいので初心者の間は覚えなくても良いと思っています。

 

⑤打ち歩詰め

これに関しては少し詳しく説明したいと思います。打ち歩詰めとは持ち駒の歩を「打って」相手玉を詰みの状態にする事です。ただし盤上にある歩を「突いて」詰みの状態にすることをは「突き歩詰め」と言って反則にはなりません。盤外の持ち駒の歩を「打つ」ということが重要なのです。ではこれまでの復習も兼ねて、次の詰め将棋を考えてみましょう。相手玉を詰ませてください。

詰将棋基本図2

これは故米長邦雄永世棋聖の著書『われ敗れたり』の初版57ページに掲載されている詰め将棋です。本書のこの問題は編集ミス等もあったみたいで重版では違うものに替えられたそうですが、この記事では、初版のものを例題にしてみました。図は『われ敗れたり』掲載図を筆者が独自に作成しました。

 

詰め将棋は王手をかけ続けなければいけません。先手の初手でパッと考え付く王手は▲1三飛成もしくは成らずですね。これは同玉と取られて逃げられますので詰みません。さあ、ここで打ち歩詰めの例です。▲2三飛成という手が見えます。しかし図を見てください。

詰将棋 飛車成り打ち歩2

上の図で▲2三飛成としたら玉は△1一玉と逃げました。ラッキーとばかりに▲1二歩打とすると、どこにも逃げられなくなって詰みの状態です。これが打ち歩詰めです。仮に1三の地点が自分の歩であった場合、それを▲1二歩と突いたら突き歩詰めですから詰みです。次の図を見てください。

詰将棋 角成り打ち歩2

それならばと基本図から▲2三角成と馬を作って王手しました。これも△1一玉と逃げます。そしてとどめだ!と▲1二歩打とすると2二に玉が逃げられず、打ち歩詰めとなり反則です。正解は下の図を見てください。

詰将棋角成らず詰め上がり

正解は初手▲2三角成不でした(Ⅰ図)。馬を作らず角のまま王手をかけると、△1一玉となり、▲1二歩と王手をかけても△2二玉と逃げることができます(Ⅱ図)。そして最後に▲3二飛成とすると△同玉なら角で玉が取られます。△1二玉は龍が効いています。玉は逃げ場がなくなってしまい、詰め上がりました(Ⅲ図)。今まで覚えてきたことをかなり使いましたね。復習も兼ねた打ち歩詰めの詰め将棋でした。

 

※打ち歩詰めに関する余談ですが、なぜこのようなルールができたのでしょうか。諸説あります。もともと主君であった玉に末端の兵が刃を向けるはずがないという意見や、数が多い歩の使い方を制限することでゲーム性をあげたという説もあります。私は後者の説を支持しますが真相はわかりません。

 

さあ!駒の動かし方もルールも覚えました!あとは盤と駒を用意して相手を見つけるだけで将棋が指せますね。どんどん指して覚えることが一番です。そうは言っても何もないところから始めると迷ってしまいますね。ということで、次は地図になるように戦法をいくつか紹介したいと思います。

 

参考文献

『われ敗れたり』 米長邦雄 中央公論新社 2012年初版 57ページ

 

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